2007/12/13

あちこち坂道のまち。

CHAILAの住むまちは坂道が多い。
もともと山を切り崩してその上にできたまちだから。
ちょっと前までこんもり茂っていた森が、
かわいらしい洋館が並ぶ住宅街に姿を変えた。

・・・いろいろ感じることはあるけど、
坂道をのぼって、
ぐるりとまちをまわって、
また坂をくだって帰ってくるのは面白い。

今の季節、道に散った銀杏の黄色い葉っぱが
寄木細工みたいにアスファルトに張り付いている。
それを眺めながらただ歩くのが好き。


ママンの急な呼び出しで坂の途中のレストランへ。
安い・早い・美味い、が売りのフランチャイズだ。
先に着いて店のなかで待っていると、
窓から乳白色の空が。
さっきまで雨が降っていた。

呼び出しの電話はいつもの喫茶店で雑誌を読んでいるとき。
なんとなく予感があったから不思議じゃなかった。
今日はなんか変わったことがしたかったのだ、二人とも。


最近の悩みは次の仕事のこととB'zのCDを買うか買わないか。
ゆっくり時間をもらったは好いけど、
考えは自然とわずかな預金のことに。
お金があると時間がない、
時間があるとお金がない。
両方あったら人はどうするんだろう?

遅れてきたママンは少し楽しそう。
キッチンのリフォームの相談を業者の若いお兄さんとしてきたのだ。
わたしはちょっとフクザツ。
20年間磨いてきたステンレスの流しとお別れだから。

一日の終わりにクレンザーを振りかけて
スチールたわしで流しを磨く。
水をかけて泡を落とすと浮かび上がる金属の光沢にうっとり見惚れる。

それが楽しみだった。
吉本ばななの小説「キッチン」を読むと、
わたしの流しは主人公の女の子に、
「好き」と言ってもらえる自信はあった。

好きなものを捨てなきゃいけない時期がくるのはツライ。


ママンは豪快にクリスマス・スペシャル・コースを頼み、
(と言っても二人で2600円くらいだが・・・)
やがて来たパスタをほうばりながら、
打ち明け話をした。

「先日、雑貨屋に入って悔しかった。」
『なんで??』
「わたし今から30年前にやりたかったお店がそのまんまあるんだもん。」
「・・・・」

いろいろ話を聞いていくうちに、
彼女の心の襞が見えてくる。
そうか、かなわなかった夢がそこに並んでいたんだ。

わたしもいつかママンの気持ちがわかるときが来るのだとしたら、
ちょっとツライ。


食後、坂を登りきって左に曲がり、
昔通っていた幼稚園のそばを通り過ぎながら、
家へ向かって一直線の急傾斜を下っていく。

「やっぱり、B’zのCD買うか・・・」
グレーの山並みと白い空を見ながら、
月並みの答えを出していた。

2 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

その気持ちを今聞けることができてよかったんだと思います。自分が子供たちに将来そういわなくていいように今は最大限の努力したいです。
お金や仕事は必ずやってきます。
そのために一番大切なことは、自分が楽しむこと、その気持ちが形にできたら、ほかの人に見せておすそ分けすること♪これが秘訣です。
もうChailaさんは一人じゃないです!不安なときは好きな音楽を聴いて、リラックスしてくださいね。
すてきなCHAILARTの世界をゆっくりゆっくり育んでください♪Chailaさんらしく、がキーポイントです♪

匿名 さんのコメント...

うん、そう思う。もうすこし若かったら理解できない部分が多かったかも、と感じます。ママンの夢は当時の若い女の子にしては『大物』だったとも。もったいなかったな。

好きな音楽、これは大事。あとお茶も欠かせないです。chiyroちゃんの応援が何よりもこころ強い今日この頃です、がんばるよ。