台風がせまる金曜日
ぼくはフランス人になったつもりで黒い傘をさして外に出る
ぬるい雨がぼくのスケッチ・ブックの線をなぞる
にじんだインク
流れる黒
ぼくはついうっとりと
濡れることも忘れて水滴をなぞる
「この絵はぼくが描いたんじゃない、
作者は雨だ。」
にじむ地平線遠くの森
国道沿いの道を通り過ぎるひと
ぼくの立つ場所はベージュ色の陸橋の上
視界は信号機と同じ
人生の合図に足を停めている
ねえキミにも見えるかな
ぼくの気持ちが
黒いインクは黒じゃないんだよ
一番伝えたいコトバ
ぼくは叫ぶこともできないで
視界の下を見渡した
雨はやさしくぼくの手に降り注いでいた
また繰り返される明日を想像しながら
ぼくは階段を降りていく
(2008/09/19 Greeより転載)
2008/09/19
雨が描いた。
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