2008/11/07

つばさ。



たとえば、をくりかえしながら生活がすぎていく
薄くれないの夕暮れ
白く浮かぶ月を見上げる
過去は花びらのようにちっていく

たとえばただ一度しかないいのちなら
ゆらゆらと燃えていくのもいとおしい
ただいちどのゆらめき

たとえばくりかえすいのちなら
歴史のなかでうごめく輪廻に
永遠のかがやき

たとえばきみがいないなら
なにもしらないやすらぎ
孤独をかんじない不幸

たとえばあなたと出会うなら
あたらしくひらくドア
運命のうずのなかに

たとえばわたしが世界をしらないなら
荒海におびえることもない

たとえば自分が世にでるなら
ひかりのまぶしさをしるだろう

しずかな祈りとなみうつこころと
もろい精神とはかない肉体
ほろびゆくのなら
うまれゆくのなら
ほほえむのなら
なげくのなら
にくむのなら
あいするのなら

にんげんのかなしみとよろこびを
おろかさとやさしさを
神を呼ぶにはせつなすぎて
不器用なこころに手をかざして

つばさはあるのだろう
かぜがふくのだろう
ひかりはさすのだろう
みちはひろがるのだろう

ああ
いきるということにもうおびえることはないだろう
ただいきていくということに
なみだがでるのだろう

つばさはあり
かぜがふき
ひかりがさし
みちがひろがっている



(2008/11/07 Greeより転載)

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