2007/12/14

殿と猫と濃い口醤油と。

ママンが『ふるさと講座』なる勉強会で、
この地方の古くからの産業を見学しに出かけた。
残されたわたしは洗濯物を干し、
掃除機をかけ、
いつものごとく散歩に出る。

スケッチ用のメモ帳を少し大きなものにしてみる。
なかなか使い勝手が好い。
紙が筆圧でゆがまないのが特に好い。
今日はお天気、小春日和。


夕方ママンが戻ってくると大興奮。
酒瓶2本と醤油の小瓶を抱えて帰ってきた。
この地方の古くからの産業とは、
なんと醤油屋さんのことだった。

ママンの話はとうとうと流れてゆく。
なぜ武田氏が千葉にいるのか。
房州の産業と古刹の話。
千葉から九州へやってきた一族について。

わたしの茶々で話が反れ、
鍋島藩と化け猫の関係についてになる。
ママンいわく、全然真実味のない話らしい。

彼女の豊かな教養と語り口は才能だ。
昔語りをさせたら立て板に水。
聞き手がわたししかいないのがもったいない気も。
万華鏡のように史実と伝説が繰り広げられる。

そしていつも話されるあの話。
ママンの一族が昔キリシタンだったらしいこと。
鍋島のお殿様がキリシタンを説得しながら改宗させていったこと。
ママンの実家の古い位牌の裏には十字架が彫られていたこと。


数年前、九州の生まれ故郷へママンと旅した。
小さいけれど歴史の面影を残す街。
目的は壊される遠い親戚のお墓の拓本とり。
夕闇の中、
苔むした墓石を洗い、
和紙を当てて綿を布でくるんだバレンでこする。
すさまじくスリリングな時間だった。

先祖のことは好く知らない。
生まれた街を離れてここで育ったから。
でも、せめてママンの昔語りくらいは本にしてあげたい。
いつかそんな仕事ができたらと思う。

2 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

ぜひ本にしましょうね♪
私の父も文学者になりたかった人なのですが、親の理解が得られずに断念したのです。父の文章は非常に美しく、じっぺいさんが父の詩を見て言葉を失ったほどでした・・・(といえばどのほどか察していただけますか?)。こう書くと親バカならず、子バカですが(笑)いつか父の書いた脚本を何らかの形にしたいと思っています。映画かアニメーションに。
Chailaさんの気持ち、よくわかるし、私もママンの夢を実現するお手伝いをしたいです!!

匿名 さんのコメント...

お父さんの文章、ぜひ読ませてください。きっとあなたにもその血が強く流れているんだと思います。いっしょに形に残すのが私たちの役目なのかも。
本でも詩画集でも好いね、アニメーションならもっと素敵!!
ママンの世界をみんなに理解してもらうために、わたしも原稿を書くようすすめています。この人の知識欲と文学性もすごいですよ。
お父さんとユニットが組めたら、好いのにね。(笑)