2007/12/25

丘から世界を

サンタは来なかった。
きっとわたしより可愛そうなこどものために、
プレゼントを夜通し配って疲れたのだろう。

いつもと同じ散歩道を行くのが気が変わって、
川を隔てて右に曲がった。
『エリコの丘』が呼んでいる気がしたから。

なかなか青にならない信号をもどかしく思いながら、
車道を渡ってちょっと林道を抜ける。
視界いっぱい緑色が広がる。
ここに来たかったんだ。

いろんなひととここへ来た。
家族や親戚。
落ち込んでたあのひと、
はしゃいでいたあの子。

みんな友達だった。

斜めに迫ってくる空を見上げながら
丘を登ってゆく。
真冬の曇り空に太陽が透かされる。
きれいだな、と見とれる。

斜面に緑色と枯れ草色の割合は半々。
立ちどまってふもとを見下ろす。
この景色がみんな好きだ。
ちょっとスケッチ。

スケッチ3枚で寒さに手が凍える。
でも好い気分。
だれか着いてきたらきっと同じ気持ちだろう。
でもわたしだけの世界。

空気がわたしを冷やして、
気持ちを張りつめさせる。
一瞬「幸せだな。」と感じた。

あと何分かで帰らなきゃ。
反対の斜面を下って山を越えてゆこう。
飛行機が通りすぎる。
薄い虹色の太陽の近くを。

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